慢性期の看護に必要なこと

慢性期病棟は全ての病棟の中でも特殊な病棟である。先天的な疾患や悪性腫瘍などの疾患を抱えている患者が長い間入院し、治療を受けていることが多い。病状は管理されているために急変して状態が極端に悪化することも珍しいし、命の危険にさらされることも多くはない。だが、慢性期病棟では多くの患者が長い闘病生活を送り、治療を受けながら病棟で生活をしている。慢性期病棟の患者は病院が家のようなものになっているのだ。

では、慢性期病棟の看護ではどのようなことが求められているだろうか。まず、長い経過で著明な症状の改善を見ることは難しい患者の苦しみに寄り添う心が必要である。長い経過がただ無為に過ぎていくのが辛い、という患者もいれば、副作用などの身体の辛さを訴える患者もいる。仕事に復帰できない辛さや、家族に迷惑をかけていることに思い悩む患者もいる。急性期の患者と違い、長い闘病生活の間では迷ってしまう、時間ばかり長くなってしまう、そんなどうしても弱ってしまう患者に寄り添う心が必要なのだ。

加えて、常に患者の身体の状態を知っておくことも必要である。急性期の患者とは異なり、同じ患者に長い期間接することになるためにそれぞれの患者の背景を良く知ることになる。だからこそ、患者にぴったりの環境を用意してあげたり、患者家族と密なコミュニケーションが取れるようになるのである。患者のことをイチから学び、医師と共に治療を組み立てていける看護師ほど、慢性期病棟での業務に向いていると言えるだろう。